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手術が終わり、
先生からの説明を待ちました。
正直、私は、
悪性の可能性があると言われてから...
「胚細胞腫」や「神経膠腫」
という病名を聞いてから...
ネットでかなり調べていました。
どちらの病名でも悪性腫瘍。
そして、予後の悪い種類が多い。
その情報だけを見てると、
悪い方にしか考えられなくなるので、
「まだ検査してみないと分からない!
良性の可能性だって、まだ全然ある。」
と旦那や自分に言い聞かせて、
必死に前向きに考えていました。
でも、その時の私は、
それぞれのグレードや種類、
そして予後や生存率について、
だいぶ頭に入っている状態でした。
看護師さんに呼ばれ、
別室に案内されると、、、
そこには、
脳外科執刀医のM先生と、
脳外科主治医のE先生の姿が。
恐る恐る席に着くと...
術前と術後の画像を見せられて、
今日の手術の説明。
「検査に出すために、
腫瘍の一部を取りました。
この腫瘍が無くなっている部分が
今日の手術で取った部分です。」
CT画像の腫瘍部分には、
数ミリ程の穴が開いたような感じで、
腫瘍が消えていました。
でも、旦那の腫瘍は
直径3~5センチくらい。
数ミリが消えても、
まだかなり残っている状態でした。
そして、先生が、
「手術で取れる部分は取りたかったけど、
ちょっと取れる状態ではありませんでした。
視神経に腫瘍が
完全にくっついていました。
そして、最初は視神経の中から
腫瘍ができてしまったようで、
そこから下垂体の部分まで
大きくなっていることが分かりました。
下垂体から出来た腫瘍が
視神経を圧迫しているだけなら、
目の回復もあるとは思いますが、
視神経からできた腫瘍なので、
もう視神経にとってはだいぶ悪い状態かと...」
少し難しい話が続きましたが、、、
思っていたよりも悪かった。
私はそう捉えていました。
そして、先生は説明を続け...
「今日直接見た感じ、
神経膠腫だと思います。
神経膠腫には、
グレードが4つあって、
1の場合は摘出すれば治ります。
しかし、旦那さんの場合は、
1という可能性は無いと思います。
グレード2~4。
この内のどれかになります。
その場合だと、
治ることはない癌です。
治療をしても、
必ず進行していく癌なので、
例えば、今は
グレード2だとしても、
年々3、4と進んでいきます。」
もうこの時の私は、
何を思ったのか覚えていません。
ただただ絶望。
治らない。
進行していく。
その言葉が頭の中で
繰り返されていました。
「その中でも、
どのグレードに近いんですか?」
と私が聞くと、
「それは1週間後の結果で分かります。
まだ、ちゃんと答えることはできないけど、
だいぶ悪いと思ってた方が良いと思います。」
もう私は先生の言葉に、
どんどん絶望を感じでいました。
悪いということは、
グレード3かグレード4...
神経膠腫の場合、
3の平均余命は3年。
4の平均余命は2年。
その情報をすでに知っていた私は、
もう頭がおかしくなりそうでした。
「完全には治らなくても、
治療は出来るんですよね?」
私は震えながら聞いていました。
「もちろん治療はしていきます。
放射線と抗がん剤治療で、
悪い場合だと2年は続きます。」
2年治療して、
余命が2年。。。
私は最悪のパターンを考えていました。
旦那が入院して手術までの1週間、
コロナのせいで、
全てにおいて制限があり、
入院したら、会えないし
話しもできない状況ということが
痛いほど分かっていたので...
その大事な2年間を
会えずに離ればなれで
過ごすことになるのか...
そう考えると、
現実逃避したくなる程でした。
先生に何を聞いても、
悪い返事しか返ってこないので、
私はもう、
先生に何も聞けない状態に
なってしまいました。
そして、何より、
旦那の精神状態が心配。
「本人には悪いという結果は
言わないでもらいたいです。
予後のことや、
絶対治らないとか、
そういう言葉は本人には、
言わないようにしてほしいです。
それを知ってしまうと、
治療を受けない、家に帰るって
言い出すと思うので。」
私はそれだけは、
必死にお願いしていました。
「それは大丈夫です。
患者さんの治療に対する
ヤル気を失うようなことは
絶対に言いません。
余命なんてものは、
正直誰にも分からないし、
そんなことは一切言いませんよ。」
先生は優しく話をしてくれてるけど、
その言葉の全てが私には悲しかった。
「この後、面会して良いので、
旦那さんに会って帰ってくださいね。」
そう言われて、
旦那の居る部屋に案内されました。
あんなに部屋での面会は
特に禁じられていたのに...
面会許可が出るくらい悪いんだ...
という状況を
私は嫌なほど感じていました。
旦那は朦朧としながらも
目が覚めていて、
少し会話もできる状態でした。
頭は包帯とガーゼで巻かれていて、
体からは数えられない程の管が...
病衣1枚を羽織ってるだけで、
ほとんどめくれて裸の状態でした。
私は、病衣を整えながら、
「手術終わったよ。
お疲れ様。頑張ったね。」
私は旦那の前では
絶対泣きたくなかったので、
その言葉を発するだけで精一杯でした。
顔を見るだけで、
涙が溢れてくる状態。
でも、旦那には
絶対バレてはいけない。
旦那は目を閉じながらも、
「頭が痛い。」を繰り返していて、
すごく辛そうな状態でした。
しかし、看護師さんからは、
「痛み止めは術後に入れてるので、
あと4時間は入れられません。」
と言われ...
でも、どんどん痛みが
かなり増してきてるようで、
意識が朦朧としながらも、
「頭が痛い。頭が痛い。」
ずーっと繰り返しながら、
私に訴えてきました。
「えりちゃん頭が痛い。」
それを聞いてた看護師さんも、
「ごめんねぇ。
あと4時間は我慢なんですよ。」
痛みに耐えられず、
頭を触ろうとしたり、
体を動かしたりするので、
「申し訳ないけど、
ちょっと危ないので、
手足を固定させてもらいますね。」
看護師さんはそう言って、
両手両足を固定し始めました。
手足が動かせない旦那は、
更に大きい声で、
「頭が痛い。痛い。痛い。」
そう何度も繰り返して、
本当に辛そうで...
さすがの私も我慢しきれず、
涙が止まりませんでした。
こんなに痛くて辛い思いをしてまで、
治療を頑張ろうとしているのに、
それでも治らないなんて...
そんな可哀想なことあるの?
こんなに頑張ってるのに...
こんなに頑張っても治らないなら、
もうこんな辛い思いはさせたくない。
このまま連れて帰りたい。
旦那に残されている大事な時間。
もう頑張らなくていいよ。
そう言ってあげたい。
正直、私はそう思っていました。
目の前には、
痛そうで辛くて苦しむ旦那。
看護師さんが、
「30分ごとに状態確認をしているので、
ちょっと奥さんはこちらにすいません。」
と少し離れた所に案内されました。
「右手で握ってください。」
「左足を動かしてください。」
「ちょっと光を当てますね。」
など、体の反応をみているようでした。
すると、
看護師さんが急に慌てだし、
他の看護師さんを呼び、
何だか慌ただしい雰囲気に。
私は聞こえてくる声に、
何事かとビックリしました。
看護師さんたちが
「すぐ先生を呼んで!」
と先生に電話をし始め、
「右目の瞳孔が反応しません。
すぐに来てください。」
それを聞いた私は、
「え?それは手術前からだけど...」
って思っていたら、
先生も、
「それは術前から経過観察中なので、
そのまま経過を見てください。」
と落ち着いた答え。
看護師さんたちは、
「え、そうだったんだ。ビックリした。」
そして、私の所に来て、
「右目は見えてないんですか?」
と看護師さんたちが聞いてきました。
「はい。見えてません。」
そう答えながらも、
やっぱり連携が取れてないのかな...
と不安になりました。
入院の階数が変わったとしても、
カルテなどで情報が引き継がれないのかな?
と疑問に思いました。
旦那は辛そうにしながらも、
あまり目を開けなくなり、
このまま眠りそうだなー。
という状態に。
もう私も旦那の姿を見るのが、
だんだん耐えられなくなり、
「じゃあ、帰るね。また来るね。
ゆっくり寝てね。」
と声を掛けて部屋を出ました。
部屋を出た途端、
もう抑えていた涙が溢れだし、
看護師さんに気付かれ、
心配して優しく声をかけてくれました。
「どんなことでも話を聞きますから。
いつでも看護師を頼ってくださいね。」
「奥さんが倒れないように
絶対に無理はしないでくださいね。」
看護師さんの優しさに、
すごく救われていました。
でも、看護師さんは
旦那の病状をあまり知らず、
そこはやっぱり少し疑問でしたが...
「ありがとうございます。
よろしくお願いします。」
とだけ伝え、私は病院を出ました。
車に乗った瞬間、
私は声をだして泣きました。
無理。嫌だ。耐えられない。
もう自分が自分じゃなくなるほど、
感情を抑えきれずに泣き続けました。
その間に、
母や義母や叔母や友達、
旦那の手術後を心配している
みんなからの連絡が入っていました。
私はそれも返せる状態ではなく、
「頑張って家に帰らなきゃ。」
そう思っていました。
でも、帰ろうとすると、
ものすごく旦那から呼ばれているような、
帰っちゃいけないような不思議な感覚がして、
しばらく帰れずに駐車場にいました。
夜8時を過ぎ、
さすがに帰ろうと思い出発。
出発する時も、
旦那と離れたくないという気持ちで、
もう泣きながら運転してました。
あんなに2時間も大泣きながら
運転したのは初めてでした。
つづく。
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