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自分の進路が決まり、
あとは受験勉強に励むだけ。

今思うと、
勉強すること自体は
嫌いじゃなかった気がする。

しかし、
どんなに頑張っても
母に口を挟まれることが嫌で、
勉強は嫌いなものだと認識していた私。

母から褒められることもなく、
「どうしてそんなに出来ないの?」
と言われ続けていたせいで、
自分は頭が悪いのだと全く自信がなかった。


受験勉強も
私にとっては不安でしかなかった。


そんな中、担任の先生から、
“推薦入学”の説明を受けた。

「えりかなら、
推薦入試を受けられると思うけど、
まずは希望してみない?」

まずは自分の学校から
推薦してもらえることが必須条件。


幸か不幸か、
厳しい母のお陰で、
学校生活は“無遅刻無欠席”だった私。

部活動も3年間続けていた。

途中ケガをして
辞めたい時期もあったが、
母から辞めることを許されず、
最後まで在籍していた。


そして、
中学2年生の頃から、
“学級副委員長”という
ポジションを続けていた私。

学級副委員長というのは
名ばかりで、仕事はほとんど無い。

クラス全員分の役員がある中で、
実は1番楽な役だった。

しかし、イメージだけで、
誰も立候補しない穴場の役だった。

その流れで、
ずっと続けていた私。


そんな肩書きのお陰で、
学校から推薦してもらえた。


どんなに中身が不真面目で、
裏では友達と悪い事もして
遊んでばかりいたとしても、

肩書きや表面上のイメージが
大きく影響するのだと、
中学生ながらに知った。


それからの私は、
一般試験を受けたくない一心で、
推薦入試に向けて、
作文の練習や面接の練習を頑張った。


しかし、
勉強しない訳にもいかず、
母からは塾に通わされていた。

近所にある小さな塾。

週に1回90分、
月謝が五千円。

教室の中には、
いつも10人くらいの同じ歳の子。


授業を受けるスタイルではなく、
問題プリントが配られ、
分からない部分を質問する形。

初日に行ってみて、
衝撃を受けた私。


広い教室がシーンと静まり返っていて、
誰も声を発しない、物音すらしない。

先生もプリント1枚を配った後は、
座って本を読んでいるだけ。

そして、ほとんどの生徒が
ただプリントを眺めているだけで
時間が過ぎるのを待っている。


「この塾、通う意味ない...」

初日にそう確信した私。


迎えに来た母に、
その現状を説明したが、

「どうせ塾に行きたくないから
言ってるだけでしょ。」

「例え、周りがそうでも、
えりかはちゃんとすればいいでしょ。」

その塾が良いと
何故か信じこんでいる母に
私の声が通じる訳がない。

私はこの無駄な塾に、
8ヶ月ほど通った。


毎回配られる
問題集をコピーしただけの
たった1枚のプリント。

そして、
どこの問題集なのか、
レベルの高すぎる問題で、
みんなほとんど分からない状態。

何度か先生に質問した事もある。

しかし、
全く理解できない先生の説明。

「分からない方が悪い」
というような言い方をされて
質問する気も失せた。

みんなこの流れで、
何もしない無駄な時間に
なっていったのだろう。


こちらから質問しない限り、
先生も口を開くことはない。

「聞いて来ないと教えないよ。」
そう言われていた。

無言で無音な教室で、
90分間何もせずに過ごす
という地獄の塾だった。


何度もその事を母に伝えるも、
絶対に辞めさせてはくれない。

本当にその時間が
ストレスになっていた私。

塾に行くことを拒否して、
自分の部屋に籠もってみたり、
トイレの鍵を閉めて立てこもったり、
涙を流して説明したが、
母は休むことすら許してくれなかった。


この時のことが原因なのか、
私はシーンとした無音の空間がダメになった。

そんな空間になると、
冷や汗が出て動悸がして、
身体がとても辛くなる。

この症状は、その後の、
高校や専門学校での授業や、
様々な試験の時間などで、
私を相当苦しめることとなった。


そんな辛い時期もあったが、
いよいよ“推薦入試”の日がやってきた。

母に隠れて、勉強の合間に、
作文や面接の練習をしていた私。


母に知られると、
必ず嫌な言葉を言われて
憂鬱な気持ちになって、
ヤル気もなくなっちゃうから。

そんな思いで、
普通なら隠さなくて良いことまで
色んな事を隠すようになっていた私。

母に知られていない事、
自分の気持ちでやることは、
自然と苦痛なく頑張れた。


何が正解か分からない推薦入試。
自分なりの精一杯で頑張った。


そして、
合格発表の日。

担任の先生に1人ずつ個室に呼ばれ、
口頭で合否を発表された。

今までにない緊張感だった。


「えりか!春が来たよ!
合格おめでとう!」

先生と抱き合って、
叫んで喜んだ。

本当に嬉しかった瞬間。


その反面、
ほとんどの生徒が落ちた
という厳しい現実も知り、

「私の人生の運を、
だいぶ使っちゃったんだな。」

真剣にそう思っていた私。


こうして私は、
無事に高校受験をクリアした。

推薦入試に合格すれば、
一般入試を受けなくても良い。

つまり、もう勉強しなくて良い。


私が解放された瞬間だった。

そして、楽しい毎日。

私の運命を変えた、
旦那との出会いが訪れた。


つづく。